
時をいつくしむように
抜け殻になったときを抱きしめる
ずっと遠くに来た今でも
澄みわたるいずみから流れる小川の
細いほそい流れを

手つないで
いつの日から離していたのだろう
たぶんここはずっとせまくて自由で
ずっとひろくて不自由だ
夜空には、また上弦の月?
ひとーつ、ふたーつ、おれは拾い上げていく

パチンコ屋になる前の、空き地のような駐車場
木漏れ日の差す細道を駆け抜けた自転車
軒先に吊るしたままの短冊
きらきらと川面に零れ落ちる朝の光
ああ、そうか
ぜんぶどこかで見たなあ
とてもきれいだ

花々の色
季節のにおい
ごぉぉーっとからだをつつむかぜの音
つかめないから
そっとこの手ですくいとってみる

この街の上で
僕らは長い旅をつづけていた


しんしんと降りつもった雪が、日のひかりを浴びて
やがて、ゆっくりと土へと染みこんでゆくように
またいつか、思い出すこともあるのでしょう?

さあさ、歩いてあるいて
生きることは表現すること、なのだから